MED INFO

医師の自学自習のためのブログ

有瘻性膿胸の症例

すごいニオイの記憶ある。 60代の男性で、診断時すでに脳転移のあった肺小細胞癌の患者さんに、入院下で初回の化学療法を行っていた。小細胞癌は予後は悪いが、抗癌剤への初期の反応は悪くない。肺の腫瘤影は徐々に縮小傾向にあった。 ある日発熱し、レント…

気管支喘息 抗体医薬一覧

気管支喘息に用いられる抗体医薬 【基本知識】 ●アレルゲンなどの抗原が提示されることで、Th0細胞(ナイーブヘルパーT細胞)はTh2細胞へ分化する。この分化にはIL-4が関わる。 ●Th2細胞からIL-4、IL-5、IL-13などが分泌され、IL-4/IL-13はB細胞を刺激してIg…

インフルエンザの患者さんに本当は伝えたいこと

昨日の夕方から発熱と関節痛ということで、今も38℃と……それは大変おつらいでしょう。他の症状はどうですか……軽いのどの痛みと鼻水、あとは大丈夫、と……。診察しますね……のどは少し赤いようですが、他にこれといった所見はないようですね。 ニュースでもやっ…

CTで発見される肺の孤立性結節のフォロー

CT検診や、他の目的で撮影されたCTで偶発的に発見された肺野の小さな孤立性結節の対応についてまとめ。 国際的にはACCP(American College of Chest Physicians)のガイドラインなどがあるが、日本ではCT検診学会の基準を使うのが無難かもしれない。 ACCPで…

抗結核薬の用量

【抗結核薬の組み合わせの基本的な考え方】 ・イソニアジドとリファンピシンは抗結核作用が強力。必ず使用する。イソニアジドやリファンピシンに耐性の結核は治療が困難である。 ・ピラジナミドも強力な作用を有する。イソニアジド、リファンピシン(代替薬…

抗インフルエンザ薬一覧

通常用いられないファビピラビル(アビガン)とアマンタジン(シンメトレル)除く 成人でよく使うのは…… ・内服ならタミフル1回1カプセル(75 mg)を1日2回・5日間 計10カプセル ・吸入ならイナビル1回2キット(40 mg)を単回 計4キット ・ゾフルーザは日本…

脾摘患者のワクチン

脾摘患者に肺炎球菌、Hib、髄膜炎菌ワクチン接種を考慮する。 肺炎球菌 ・打っていなければPCV13を1回打ち、8週空けてPPSV23を打つ。 ・PPSV23は5年毎 Hib ・打っていなければ1回打つ 髄膜炎菌 ・4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY:メナクトラ)を5年毎。 肺炎…

深頸部感染症(killer sore throat)

頭頚部の結合組織は炎症が波及しやすい 歯牙や扁桃の感染が波及。頭頚部の「間隙」は結合組織が疎であり波及しやすい。 ・歯牙→顎下間隙・咀嚼筋間隙・耳下腺間隙→傍咽頭間隙 ・口蓋扁桃→扁桃周囲間隙→傍咽頭間隙 ・傍咽頭間隙→頸動脈間隙・内臓間隙・咽頭後…

ダプトマイシン(キュビシン)の腎機能障害時の投与

抗MRSA薬の第一選択は伝統的にバンコマイシンとされているが、腎障害が進行した場合の代替薬としてキュビシンに変更するときがある。 キュビシン 1バイアル=350 mg ●添付文書 クレアチニンクリアランス(CCr)が、 30以上→通常用量(4ないし6 mg/kg)を24時…

CMVアンチゲネミア法(C7-HRP、C10/11)をどう使うか

日常臨床でCMVアンチゲネミア(C7HRPまたはC10/11)が測定されることがある。「CMVアンチゲネミアが陽性」であれば、CMV infectionであると言える。 CMV infection:体液や組織からCMVの抗原や核酸が分離できる状態で、症状・所見の有無を問わない。 CMV dis…

メトロニダゾール脳症・セフェピム脳症

メトロニダゾール脳症は投与1ヶ月以降(中央値約50日)に発症し、末梢神経障害や失調、意識障害などを呈する。診断にはMRIを。 セフェピム脳症は平均5日(1-10日)と短期間で出現し、ミオクローヌスや痙攣が特徴的。診断には脳波を。 メトロニダゾール ・メト…

薬剤性肺障害の原因薬剤―薬剤別

参考:薬剤性肺障害の診断・治療の手引き2018 ブレオマイシン イリノテカン アムルビシン シスプラチン・カルボプラチン オキサリプラチン ゲフィチニブ エルロチニブ mTOR阻害薬 メソトレキセート サラゾスルファピリジン・メサラジン(アサコール、ペンタ…

薬剤性肺障害の原因薬剤―臨床病型からみた分類

参考:薬剤性肺障害の診断・治療の手引き2018 間質性肺炎 肺水腫 好酸球性肺炎 気道系病変 肺血管病変 胸膜病変 間質性肺炎 EGFR-TKI、mTOR阻害薬、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ) レフルノマイド、メソトレキセート、ペニシラミン、金製剤 ブレオマ…

MAC抗体について

参考:呼吸器ジャーナル2018;66 MAC抗体について ●glycopeptidolipid(GPL)はMAC壁成分である。MACの血清型を規定し、GPL-coreと糖鎖からなる。 ●抗GPL-core IgA抗体(キャピリアMAC抗体ELISA)が実用化され、2011年から保険適応になっている。IgG抗体も検…

肺非結核性抗酸菌症(MAC以外)の概要・治療

参考:呼吸器ジャーナル2018;66 ※Runyon分類:固形培地におけるコロニー形成に7日を超える遅速発育菌(I、II、III群)と7日以内の迅速発育菌(IV群)がある。 迅速発育菌で有名なのがM abscessus complex、M fortuitum、M chelonae。 遅速ではszulgai、xeno…

肺高血圧治療薬一覧

肺高血圧の薬剤一覧 プロスタサイクリン アナログ エポプロステロール フローラン 注 トレプロスチニル トレプロスト 注 ベラプロスト ドルナー/プロサイリン 錠 セレキシパグ ウプトラビ 錠 イロプロスト ベンテイビス 吸入液 エンドセリン受容体拮抗薬 ボ…

閉塞性睡眠時無呼吸の症状・質問票

閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の自覚/他覚症状 ●日中の眠気、睡眠中のいびき/窒息(choking)。窒息や喘ぎ(gasping)は特異度が高い(JAMA 2013;310:731)。OSAの眠気はただの疲労とは異なり、起きていられない眠さ。 ●重症例では夜…

閉塞性睡眠時呼吸の診断・ポリソムノグラフィー

閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)の診断基準 ●日本独自のものはない。以下のCPAPの保険適応基準があるのみ。 1-3のすべて。無呼吸低呼吸指数(AHI)が40以上なら2だけでよい。 1 AHIが20以上 2 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が…

抗リウマチ薬(生物学的製剤)一覧

【】内は標的 【TNFα】 インフリキシマブ レミケード キメラ 適:RA、クローン、ベーチェットによる網膜ぶどう膜炎 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎 潰瘍性大腸炎、川崎病 エタネルセプト エンブレル TNFα受容体とIgGのFcの融合タンパク…

死亡診断書記入マニュアルを読んで

平成31年版の死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルを読んで感じたこと。 特にことわりがない引用は記入マニュアルからの引用です。また、厚労省通知「医師による異状死体の届け出の徹底について」および厚労省事務連絡「「医師による異状死体の届け出の徹…

COPD治療薬一覧

LAMA スピリーバ チオトロピウム18/5 DPI(吸入用カプセル)/ SMI(レスピマット)1日1回 シーブリ グリコピロニウム50 DPI(吸入用カプセル)1日1回 エクリラ アクリジニウム400 DPI(ジェヌエア)1日2回 エンクラッセ ウメクリジニウム62.5 DPI(エリプタ…

気管支喘息治療薬一覧

参考:難治性喘息診断と治療の手引き2019 吸入ステロイド ●JGLでは、保険承認の最高用量を「高用量」、その半量を「中用量」、その半量を「低用量」としている。 ●GINAでは最高用量の上限が設定されていない。 BDP:キュバール(エアゾール;大日本;50、100…

ランナーと貧血

長距離を専門とする中高生に鉄製剤を静注する。 いまだにやらせている指導者がいるとはにわかに信じられません。投与に応じる医者も同罪。怒りを覚えます。 さて、昔からある古いテーマのようですが、pubmedで「runner, anemia」で検索しても30ほどしか出ず…

ステロイド維持治療が難しければ、必要時シムビコートでもいいかもしれない

Novel START trial 気管支喘息に対しては、「何はなくとも吸入ステロイドの定期吸入」と認識していますが、「薬を続けるのはちょっと」という患者さんが多いのは仕方のないこと。アドヒアランスもよくありません。 そんな人にシムビコートをレリーバーとして…

脊椎カリエスの特徴・診断

・慢性の炎症により骨・歯牙が腐った状態をカリエス(独語Karies、英語caries)と呼ぶ。虫歯もカリエス。 ・日本では伝統的に結核性の骨病変を指してカリエスと呼んでおり、かつては脊椎カリエスのほか、肋骨のカリエス、骨盤のカリエスなどよく見られたはず…

ウイルスがコントロールされたHIV患者からHIVは伝播しない「U=U」

U=U taking off in 2017 Lancet HIV 2017;4(11):e475 Editorial ●ウイルス学的にコントロールされたHIV感染患者は、性的接触によって他人にHIVを感染させることはないらしい。 ●2016年に「the Undetectable=Untranmissable (U=U) slogan」がPrevention Acces…

破傷風―Review

Tetanus Seminar Yen LM, Thwaites CL. Lancet 2019;393:1657 Introduction 破傷風tetanusは芽胞形成性spore-formingの細菌のClostridium tetaniが産生する神経毒を原因とするvaccine-preventable diseaseである。C tetaniの芽胞は世界中の環境中に存在し、…

結核―Review

Tuberculosis Seminar Lancet 2019;393:1642 Epidemiology, pathogenesis, and risk factors ●WHOの推計では2017年の新規発症は1000万人、うち870万人は結核がhigh-burdenな30ヶ国に住んでいる。640万人で診断および届出がなされており、130万人は死亡してい…

黄色ブドウ球菌菌血症

参考: INTENSIVIST 2019;11:3 「重症ブドウ球菌菌血症に対する治療」 Hospitalist 2013;1:241 「フォーカス不明の菌血症・敗血症」 AHA 感染性心内膜炎ガイドライン2015 循環器学会 感染性心内膜炎ガイドライン ●黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)の90日死亡率は…

感染性心内膜炎の内服スイッチ―NEJM 2019 POET trial

Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis Iversen K, et al. N Engl J Med 2019;380:415-24 POET trial Abstract 左心系の感染性心内膜炎は通常6週間の静注抗菌薬投与を必要とする。治療途中に静注から内服抗菌薬に変更した場…