MED INFO

医師の自学自習のためのブログ

感染症

梅毒の検査

梅毒の診断は血清学的検査に頼っている。血清学的検査には、「非特異的な脂質抗原に関する検査」と、「梅毒トレポネーマ抗体に関する検査」がある。 非特異的な脂質抗原に関する検査は、非特異的だが(=生物学的偽陽性がある)治療効果判定に利用できる。梅…

梅毒 自然経過とステージ

NEJM 2020;382:9 The Modern Epidemic of Syphilis(Review) ・Natural history and clinical recognition of syphilisの項をまとめた。 ・用語の日本語などは「梅毒診療ガイド」(2018年)を参照。 感染早期 ●梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)は感…

MRSA菌血症に対するβラクタム上乗せ(原著)

JAMA 2020;323(6):527-37 ★MRSA菌血症において、バンコマイシン(orダプトマイシン)にMSSA用βラクタム(フルクロキサシリンorクロキサシリンorセファゾリン)をランダム化後1週間併用する群が、併用しない群と比べて、複合エンドポイント(90日死亡、5日目…

インフルエンザ様疾患に対するタミフル(原著)

Lancet 2020;395:42 ★プライマリケアで遭遇するinfluenza-like illnessに対して、通常ケアに加えてタミフルを加えるか加えないかのランダム化、オープンラベル試験。約1500人ずつで比較。 ★primary endpointのtime to recoveryはタミフル群で1日早かった。高…

バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタム併用は腎障害が強い(原著)

バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタム併用は腎障害が強い (Crit Care Med 2018;46:12) システマティックレビュー・メタアナラシス 目的 ●バンコマイシン+ピペラシリン/タゾバクタムの急性腎障害を評価する ●バンコマイシン+ピペラシリン/タゾバク…

黄色ブドウ球菌菌血症におけるリファンピシン併用(原著)

黄色ブドウ球菌菌血症にリファンピシンを併用してもベネフィットなし (Lancet 2018;391:668) ARREST trial ★黄色ブドウ球菌菌血症で14日間のリファンピシン併用をプラセボと比較。 ★primary outcomeの「ランダム化後12週以内のtime to bacteriologically c…

AmpC βラクタマーゼ過剰産生菌

★AmpCはESBLより知名度が低い気がする。 ★一部のグラム陰性桿菌はAmpC βラクタマーゼを過剰産生することで、第3世代セフェムへの耐性を獲得する。 ★AmpCを過剰産生しうる菌種が第3世代セフェムに感受性であるときに、第3世代を使ってよいか第4世代を使ったほ…

免疫チェックポイント阻害薬使用中のインフルエンザワクチン(原著)

免疫チェックポイント阻害薬使用中にインフルエンザワクチンを接種しても免疫関連副作用(IRAE)は増えない (Clin Infect Dis 2020;70:193) ★後方視的で比較研究でもなく質は高くない。 ★免疫チェックポイント阻害薬使用中でも、少なくともインフルエンザ…

結核の入院・退院基準、就業制限について

厚生労働省健康局結核感染症課長通知 健感発第0907001号 平成19年9月7日(平成26年1月29日一部改正後全文)より 原文をそのまま記載している箇所はその旨明記しています 入院に関する基準 ●喀痰塗抹検査が陽性 または、 ●喀痰塗抹検査が陰性でも、喀痰・胃液…

人工呼吸器関連肺炎の抗菌薬予防投与(原著)

人工呼吸器関連肺炎をアモキシシリン/クラブラン酸で予防する (N Engl J Med 2019;381:1831-42) ANTHARTIC trial ★初回ショック適応/病院外心停止/低体温療法の患者に、心停止6時間以内にアモキシシリン1000mg/クラブラン酸200mg/回・1日3回・2日間 or プ…

デングワクチンTAK-003の有効性と安全性(原著)

TAK-003の有効性は80% (N Engl J Med 2019;381:2009-19) TIDES trial 中間報告 ★すでに承認されているDengvaxiaはdengue seronegative患者には使いにくい。 ★本試験では4-16歳の小児でTAK-003(vs プラセボ)の有効性と安全性を評価。 ★per-protocolで80%…

経口lefamulinの肺炎に対する効果(原著)

原著 肺炎:経口Lefamulin vs Moxifloxacin (JAMA 2019;322(17):1661-1671) The LEAP 2 Randomized Clinical Trial ★lefamulinはアイルランド・Nebriva Therapeutics社の新規抗菌薬。 ★2019年8月にFDAが承認 ★商品名「Xenleta」。150 mg静注製剤と600 mg錠…

タミフルは効くのか(原著)

原著 重症患者に対するオセルタミビル早期投与の意義 (Clin Infect Dis 2019;69(11):1896-1902) ★ICUに入室するような重症インフルエンザで、症状発現48時間以内にタミフルを投与すると死亡率が減少するか? ★A/H3N2では死亡率が減少し(RR 0.69)、ICU滞…

黄色ブドウ球菌菌血症の予後(原著)

原著 黄色ブドウ球菌菌血症の予後について (Clin Infect Dis 2019;69(12):2112) ★アメリカ。データベースを使った後ろ向き研究。 ★黄色ブドウ球菌菌血症の48%がMRSA。 ★黄色ブドウ球菌菌血症の院内死亡(初回入院時)は13%で、MSSAよりMRSAのほうが多かっ…

抗結核薬の用量

【抗結核薬の組み合わせの基本的な考え方】 ・イソニアジドとリファンピシンは抗結核作用が強力。必ず使用する。イソニアジドやリファンピシンに耐性の結核は治療が困難である。 ・ピラジナミドも強力な作用を有する。イソニアジド、リファンピシン(代替薬…

抗インフルエンザ薬一覧

通常用いられないファビピラビル(アビガン)とアマンタジン(シンメトレル)除く 成人でよく使うのは…… ・内服ならタミフル1回1カプセル(75 mg)を1日2回・5日間 計10カプセル ・吸入ならイナビル1回2キット(40 mg)を単回 計4キット ・ゾフルーザは日本…

脾摘患者のワクチン

脾摘患者に肺炎球菌、Hib、髄膜炎菌ワクチン接種を考慮する。 肺炎球菌 ・打っていなければPCV13を1回打ち、8週空けてPPSV23を打つ。 ・PPSV23は5年毎 Hib ・打っていなければ1回打つ 髄膜炎菌 ・4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY:メナクトラ)を5年毎。 肺炎…

深頸部感染症(killer sore throat)

頭頚部の結合組織は炎症が波及しやすい 歯牙や扁桃の感染が波及。頭頚部の「間隙」は結合組織が疎であり波及しやすい。 ・歯牙→顎下間隙・咀嚼筋間隙・耳下腺間隙→傍咽頭間隙 ・口蓋扁桃→扁桃周囲間隙→傍咽頭間隙 ・傍咽頭間隙→頸動脈間隙・内臓間隙・咽頭後…

ダプトマイシン(キュビシン)の腎機能障害時の投与

抗MRSA薬の第一選択は伝統的にバンコマイシンとされているが、腎障害が進行した場合の代替薬としてキュビシンに変更するときがある。 キュビシン 1バイアル=350 mg ●添付文書 クレアチニンクリアランス(CCr)が、 30以上→通常用量(4ないし6 mg/kg)を24時…

CMVアンチゲネミア法(C7-HRP・C10/11)をどう使うか

日常臨床でCMVアンチゲネミア(C7HRPまたはC10/11)が測定されることがある。「CMVアンチゲネミアが陽性」であれば、CMV infectionであると言える。 CMV infection:体液や組織からCMVの抗原や核酸が分離できる状態で、症状・所見の有無を問わない。 CMV dis…

メトロニダゾール脳症・セフェピム脳症

★メトロニダゾール脳症は投与1ヶ月以降(中央値約50日)に発症し、末梢神経障害や失調、意識障害などを呈する。診断にはMRIを。 ★セフェピム脳症は平均5日(1-10日)と短期間で出現し、ミオクローヌスや痙攣が特徴的。診断には脳波を。 メトロニダゾール ●メト…

MAC抗体について

参考:呼吸器ジャーナル2018;66 MAC抗体について ●glycopeptidolipid(GPL)はMAC壁成分である。MACの血清型を規定し、GPL-coreと糖鎖からなる。 ●抗GPL-core IgA抗体(キャピリアMAC抗体ELISA)が実用化され、2011年から保険適応になっている。IgG抗体も検…

肺非結核性抗酸菌症(MAC以外)の概要・治療

参考:呼吸器ジャーナル2018;66 Runyon分類が有名。 固形培地におけるコロニー形成に7日を超える遅速発育菌(I、II、III群)と7日以内の迅速発育菌(IV群)がある。 迅速発育菌で有名なのがM abscessus complex、M fortuitum、M chelonae。 遅速ではszulgai…

脊椎カリエスの特徴・診断

・慢性の炎症により骨・歯牙が腐った状態をカリエス(独語Karies、英語caries)と呼ぶ。虫歯もカリエス。 ・日本では伝統的に結核性の骨病変を指してカリエスと呼んでおり、かつては脊椎カリエスのほか、肋骨のカリエス、骨盤のカリエスなどよく見られたはず…

ウイルスがコントロールされたHIV患者からHIVは伝播しない「U=U」

U=U taking off in 2017 Lancet HIV 2017;4(11):e475 Editorial ●ウイルス学的にコントロールされたHIV感染患者は、性的接触によって他人にHIVを感染させることはないらしい。 ●2016年に「the Undetectable=Untranmissable (U=U) slogan」がPrevention Acces…

破傷風―Review

Tetanus Seminar Yen LM, Thwaites CL. Lancet 2019;393:1657 Introduction 破傷風tetanusは芽胞形成性spore-formingの細菌のClostridium tetaniが産生する神経毒を原因とするvaccine-preventable diseaseである。C tetaniの芽胞は世界中の環境中に存在し、…

結核―Review

Tuberculosis Seminar Lancet 2019;393:1642 Epidemiology, pathogenesis, and risk factors ●WHOの推計では2017年の新規発症は1000万人、うち870万人は結核がhigh-burdenな30ヶ国に住んでいる。640万人で診断および届出がなされており、130万人は死亡してい…

黄色ブドウ球菌菌血症

まとめ 黄色ブドウ球菌菌血症の概要 INTENSIVIST 2019;11:3 「重症ブドウ球菌菌血症に対する治療」 Hospitalist 2013;1:241 「フォーカス不明の菌血症・敗血症」 AHA 感染性心内膜炎ガイドライン2015 循環器学会 感染性心内膜炎ガイドライン ●黄色ブドウ球菌…

感染性心内膜炎の内服スイッチ―NEJM 2019 POET trial

Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis Iversen K, et al. N Engl J Med 2019;380:415-24 POET trial Abstract 左心系の感染性心内膜炎は通常6週間の静注抗菌薬投与を必要とする。治療途中に静注から内服抗菌薬に変更した場…

梅毒検査の成績―CID2019

Performance of Treponemal Tests for the Diagnosis of Syphilis Park IU, et al. Clin Infect Dis 2019;68:913 梅毒診断はlecithin、cardiolipin、cholesterolなどのlipoidal antigensに対する反応をみるnontreponemal serology (rapid plasma reagen (RPR…