MED INFO

医師の自学自習のためのブログ

新型コロナウイルスについて(2020/1/31 15時)

新型コロナウイルス(2019 novel coronavirus, Wuhan, China) ニュース:2020年1月31日15時 ★確定した日本国内の患者数は14人。 ★武漢からのチャーター便の3便目が到着。1-3便で計565人帰国。 ★WHOがglobal health emergencyを宣言。 yahoo トップページ(2…

インフルエンザ様疾患に対するタミフル(原著)

Lancet 2020;395:42 ★プライマリケアで遭遇するinfluenza-like illnessに対して、通常ケアに加えてタミフルを加えるか加えないかのランダム化、オープンラベル試験。約1500人ずつで比較。 ★primary endpointのtime to recoveryはタミフル群で1日早かった。高…

バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタム併用は腎障害が強い(原著)

バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタム併用は腎障害が強い (Crit Care Med 2018;46:12) システマティックレビュー・メタアナラシス 目的 ●バンコマイシン+ピペラシリン/タゾバクタムの急性腎障害を評価する ●バンコマイシン+ピペラシリン/タゾバク…

黄色ブドウ球菌菌血症におけるリファンピシン併用(原著)

黄色ブドウ球菌菌血症にリファンピシンを併用してもベネフィットなし (Lancet 2018;391:668) ARREST trial ★黄色ブドウ球菌菌血症で14日間のリファンピシン併用をプラセボと比較。 ★primary outcomeの「ランダム化後12週以内のtime to bacteriologically c…

AmpC βラクタマーゼ過剰産生菌

★AmpCはESBLより知名度が低い気がする。 ★一部のグラム陰性桿菌はAmpC βラクタマーゼを過剰産生することで、第3世代セフェムへの耐性を獲得する。 ★AmpCを過剰産生しうる菌種が第3世代セフェムに感受性であるときに、第3世代を使ってよいか第4世代を使ったほ…

心房細動患者の禁酒(原著)

N Engl J Med 2020;382:20 ★ベースが洞調律の心房細動、かつregular drinker(平均飲酒量約16 drinks/week)の患者を禁酒群70人vsコントロール群70人にランダム割付。6ヶ月フォローし心房細動の再発などを比較。 ★禁酒群は2 drinks/週、コントロール群は13 d…

免疫チェックポイント阻害薬使用中のインフルエンザワクチン(原著)

免疫チェックポイント阻害薬使用中にインフルエンザワクチンを接種しても免疫関連副作用(IRAE)は増えない (Clin Infect Dis 2020;70:193) ★後方視的で比較研究でもなく質は高くない。 ★免疫チェックポイント阻害薬使用中でも、少なくともインフルエンザ…

結核の入院・退院基準、就業制限について

厚生労働省健康局結核感染症課長通知 健感発第0907001号 平成19年9月7日(平成26年1月29日一部改正後全文)より 原文をそのまま記載している箇所はその旨明記しています 入院に関する基準 ●喀痰塗抹検査が陽性 または、 ●喀痰塗抹検査が陰性でも、喀痰・胃液…

メラノーマに対するニボルマブ+イピリムマブ(原著)

進行メラノーマに対するニボルマブ+イピリムマブ:5年生存率 (N Engl J Med 2019;381:1535-46) CheckMate 067 trial ★ニボルマブ+イピリムマブ群でmedian PFS:not reached、5年生存率は52%。 背景 ●進行メラノーマに対するCheckMate 067試験(ニボルマ…

IPF以外のfibrosing ILDでもニンテダニブは有効(原著)

IPF以外のfibrosing ILDでもニンテダニブは有効 (N Engl J Med 2019;381:1718-27) INBUILD trial ★IPFではなさそうなILDでも「IPF」の診断名をつけてニンテダニブ(またはピルフェニドン)を投与することがある。 ★これまでの試験と同様、52週のFVC低下をe…

気管支喘息の治療(黒人)(原著)

黒人の小児で吸入ステロイド増量とLABAアドオンは同等 (N Engl J Med 2019;381:1227-39) BARD trial ★黒人(祖父母の1人以上が黒人)で検討。 ★吸入ステロイド増量、LABAアドオンなどいくつかの治療法を1対1で比較するやり方で検討。 ★小児では吸入ステロ…

人工呼吸器関連肺炎の抗菌薬予防投与(原著)

人工呼吸器関連肺炎をアモキシシリン/クラブラン酸で予防する (N Engl J Med 2019;381:1831-42) ANTHARTIC trial ★初回ショック適応/病院外心停止/低体温療法の患者に、心停止6時間以内にアモキシシリン1000mg/クラブラン酸200mg/回・1日3回・2日間 or プ…

デングワクチンTAK-003の有効性と安全性(原著)

TAK-003の有効性は80% (N Engl J Med 2019;381:2009-19) TIDES trial 中間報告 ★すでに承認されているDengvaxiaはdengue seronegative患者には使いにくい。 ★本試験では4-16歳の小児でTAK-003(vs プラセボ)の有効性と安全性を評価。 ★per-protocolで80%…

肺塞栓の除外:WellsスコアとD-dimer(原著)

WellsスコアとD-dimerによる肺塞栓の除外 (N Engl J Med 2019;381:2125-34) PEGeD trial ★これまでの定説は「WellsスコアでlowかつD-dimer<500 ng/mLでは肺塞栓が除外できる」。 ★本研究によって「WellsスコアでlowかつD-dimer<1000」「Wellsスコアでmoder…

腸球菌による感染性心内膜炎

AHAガイドライン(Circulation 2015;132:1435-1486) 総論 ペニシリン感受性、アミノグリコシド非高度耐性 ペニシリン感受性、アミノグリコシド(高度)耐性 ペニシリン耐性あるいはペニシリン忍容性なし バンコマイシン耐性 PCG 18-30 million U/day 持続ま…

Targeted Lung Denervation for COPD(原著)

原著 Targeted Lung Denervation for symptomatic COPD Am J Respir Crit Care Med 2019;200(12): AIRFLOW-2 ★COPDに対するTargeted Lung Denervation治療の効果。 ★気管支喘息のサーモプラスティみたいな治療? ★TLD 41人 vs シャム 41人で比較。 ★ランダム…

心筋梗塞後にコルヒチン(原著)

原著 心筋梗塞後に低用量コルヒチン (N Engl J Med 2019;381:2497) Colchicine Cardiovascular Outcomes Trial (COLCOT) ★心筋梗塞を起こして30日以内の患者にコルヒチン0.5 mg/dayを投与し、平均22.6ヶ月追跡。 ★primary efficacy end point(複合エンド…

バイスタンダー除細動は有効(原著)

原著 一般人によるバイスタンダー除細動は、循環が戻らなくても予後を改善する (Lancet 2019;394(10216):2255-2262) ★日本のビッグデータの解析。 ★病院外心停止患者(11年間で約130万人)のうち、バイスタンダーがCPRを開始し、かつ電気ショックが有効な…

経口lefamulinの肺炎に対する効果(原著)

原著 肺炎:経口Lefamulin vs Moxifloxacin (JAMA 2019;322(17):1661-1671) The LEAP 2 Randomized Clinical Trial ★lefamulinはアイルランド・Nebriva Therapeutics社の新規抗菌薬。 ★2019年8月にFDAが承認 ★商品名「Xenleta」。150 mg静注製剤と600 mg錠…

タミフルは効くのか(原著)

原著 重症患者に対するオセルタミビル早期投与の意義 (Clin Infect Dis 2019;69(11):1896-1902) ★ICUに入室するような重症インフルエンザで、症状発現48時間以内にタミフルを投与すると死亡率が減少するか? ★A/H3N2では死亡率が減少し(RR 0.69)、ICU滞…

黄色ブドウ球菌菌血症の予後(原著)

原著 黄色ブドウ球菌菌血症の予後について (Clin Infect Dis 2019;69(12):2112) ★アメリカ。データベースを使った後ろ向き研究。 ★黄色ブドウ球菌菌血症の48%がMRSA。 ★黄色ブドウ球菌菌血症の院内死亡(初回入院時)は13%で、MSSAよりMRSAのほうが多かっ…

有瘻性膿胸の症例

すごいニオイの記憶ある。 60代の男性で、診断時すでに脳転移のあった肺小細胞癌の患者さんに、入院下で初回の化学療法を行っていた。小細胞癌は予後は悪いが、抗癌剤への初期の反応は悪くない。肺の腫瘤影は徐々に縮小傾向にあった。 ある日発熱し、レント…

気管支喘息 抗体医薬一覧

気管支喘息に用いられる抗体医薬 【基本知識】 ●アレルゲンなどの抗原が提示されることで、Th0細胞(ナイーブヘルパーT細胞)はTh2細胞へ分化する。この分化にはIL-4が関わる。 ●Th2細胞からIL-4、IL-5、IL-13などが分泌され、IL-4/IL-13はB細胞を刺激してIg…

インフルエンザの患者さんに本当は伝えたいこと

昨日の夕方から発熱と関節痛ということで、今も38℃と……それは大変おつらいでしょう。他の症状はどうですか……軽いのどの痛みと鼻水、あとは大丈夫、と……。診察しますね……のどは少し赤いようですが、他にこれといった所見はないようですね。 ニュースでもやっ…

CTで発見される肺の孤立性結節のフォロー

CT検診や、他の目的で撮影されたCTで偶発的に発見された肺野の小さな孤立性結節の対応についてまとめ。 国際的にはACCP(American College of Chest Physicians)のガイドラインなどがあるが、日本ではCT検診学会の基準を使うのが無難かもしれない。 ACCPで…

抗結核薬の用量

【抗結核薬の組み合わせの基本的な考え方】 ・イソニアジドとリファンピシンは抗結核作用が強力。必ず使用する。イソニアジドやリファンピシンに耐性の結核は治療が困難である。 ・ピラジナミドも強力な作用を有する。イソニアジド、リファンピシン(代替薬…

抗インフルエンザ薬一覧

通常用いられないファビピラビル(アビガン)とアマンタジン(シンメトレル)除く 成人でよく使うのは…… ・内服ならタミフル1回1カプセル(75 mg)を1日2回・5日間 計10カプセル ・吸入ならイナビル1回2キット(40 mg)を単回 計4キット ・ゾフルーザは日本…

脾摘患者のワクチン

脾摘患者に肺炎球菌、Hib、髄膜炎菌ワクチン接種を考慮する。 肺炎球菌 ・打っていなければPCV13を1回打ち、8週空けてPPSV23を打つ。 ・PPSV23は5年毎 Hib ・打っていなければ1回打つ 髄膜炎菌 ・4価髄膜炎菌ワクチン(MenACWY:メナクトラ)を5年毎。 肺炎…

深頸部感染症(killer sore throat)

頭頚部の結合組織は炎症が波及しやすい 歯牙や扁桃の感染が波及。頭頚部の「間隙」は結合組織が疎であり波及しやすい。 ・歯牙→顎下間隙・咀嚼筋間隙・耳下腺間隙→傍咽頭間隙 ・口蓋扁桃→扁桃周囲間隙→傍咽頭間隙 ・傍咽頭間隙→頸動脈間隙・内臓間隙・咽頭後…

ダプトマイシン(キュビシン)の腎機能障害時の投与

抗MRSA薬の第一選択は伝統的にバンコマイシンとされているが、腎障害が進行した場合の代替薬としてキュビシンに変更するときがある。 キュビシン 1バイアル=350 mg ●添付文書 クレアチニンクリアランス(CCr)が、 30以上→通常用量(4ないし6 mg/kg)を24時…