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偽痛風

<参考>

・up to date:Clinical manifestations and diagnosis of calcium pyrophosphate crystal deposition (CPPD) disease

・内科診断リファレンス

 

・EULARではピロリン酸カルシウム沈着症calcium pyrophosphate dihydrate crystal deposition (CPPD)と呼ばれる。pseudogout、chondrocalcinosis、pyrophosphate arthropathyなどを含む。

・pseudogout 偽痛風:CPPD-diseaseの急性型。痛風に似る。CPPD患者の多くは偽痛風を経験しない。EULARではacute calcium pyrophosphate crystal arthritisの用語をpreferしている。

・高齢者では多くがCPPDを罹患する。画像的なCPPDは年齢で罹患率が上がり、65-74歳で15%、75-84歳で36%、85歳以上で50%など。性差はないようである。

・EULARのタスクフォースによる分類:

 Asymptomatic CPPD disease

 Acute CPP crystal arthritis = pseudogout

 Chronic CPP crystal arthritis = pseudo-RA

 OA with CPPD

 Severe joint degeneration

 Spinal involvement

 

・Acute CPP crystal arthritis = pseudogout

膝は最も多い(50%以上)。その他、恥骨結合、手、肩、足、肘も。90%で両側対称性。60%で過去に罹患歴がある。症状は1-2週間よりも長く続くかもしれないが、1-2日で改善することが多い。上肢の関節にも出現することは疑いを上げる。外傷、外科処置、その他重症疾患が誘因となる。50人のケースシリーズ(Clin Orthop Relat Res 1988;173)では、25人で38℃を超える発熱、5人で意識障害、14人で化膿性関節炎と初期診断/誤診断、21人で複数関節罹患。

・OA with CPPD

膝関節置換を行った患者をランダムで調べたところ20%に膝関節液のCPP crystalあり。CPPあると関節破壊進む。膝が多い。両側性が多く、一側性や非対称性はunusual。

・Spinal involvement

強直性脊椎炎やdiffuse idiopathc skeletal hyperostosis (DISH)に似る場合もある。後縦靭帯などに沈着すれば脊髄症を起こすこともある。

・crowned dens syndrome

急性、再発性の後頚部疼痛、首の硬直、熱。CTで診断。リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、髄膜炎との鑑別を要する。89%は急性、97%は炎症反応上昇あり。他部位の関節軟骨石灰化を66%で認める。

 

・関節液

82%で白血球は2000-5万。2000未満(12%)、5万以上(6%)もある。90%は好中球。結晶の多さは重症度と関連するかもしれない。尿酸の結晶より探しにくい。小さい、birefringentが弱い。rhomhoidだけでなく、rodやcuboidの形もある。尿酸結晶とCPP結晶両方が存在することもある。

結晶がみえても5%では化膿性関節炎を合併しているとの報告ある。

・画像

X線で石灰化を認めるのがポイント。両側性が多い。軟骨と関節双方とも所見がある。変性所見はOAと似る(注:ほぼ区別できない)。