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薬剤性肺障害の原因薬剤―薬剤別

参考:薬剤性肺障害の診断・治療の手引き2018

 

  


ブレオマイシン

ARDS/肺水腫、OPEP、結節など。総投与量と発症率が相関する。高齢、既存の肺疾患、腎不全はリスク。

DLCOが低下してくる症例では中止すべき。

 


イリノテカン

・日本の臨床試験では投与患者の1.8%に薬剤性肺炎。米国では0.4%

IP合併患者には禁忌。

 


アムルビシン

臨床試験では2.2%。既存肺の線維化がある場合は発症率33%

IP合併患者には禁忌。

 


シスプラチン・カルボプラチン

・肺障害の頻度は低い。

 


オキサリプラチン

OP、肺線維症、DAD、気管攣縮など。

FOLFOXなどで使用される。投与回数が増えるごとにアナフィラキシー様症状の頻度が増える。

 


ゲフィチニブ

・市販後の検討では急性肺障害・IPの頻度は5.8%、死亡率38%

・死亡例ではDADがほとんど。多くが投与開始4週以内に発症する。

・発症リスクにPS2以上、喫煙歴、背景肺のIP、化学療法歴。予後不良因子にPS2以上、男性。


エルロチニブ

NSCLCの全例調査でIP発現率は4.3%。死亡率35%

・発症時期のピークは2週以内。58%4週以内。

・発症リスクは背景肺のIP、喫煙歴、COPDなど。死亡リスクはPS2以上、正常肺専有面積≦50%など。

・膵癌での検討ではIP発現率6.2%、死亡率3%と低かった。

 


mTOR阻害薬

エベロリムス(アフィニトール)

・適応:腎細胞癌、乳癌、神経内分泌腫瘍、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫、腎血管筋脂肪腫

・肺障害発生率は10-20%、日本のデータでは30-50%。発症までの中央値は66日。

COPNSIPLIPDAD/ALIが主体。

ステロイドには反応しやすい

・ノバルティスの適正使用ガイドによると、

grade 1(症状なく画像のみ) 観察しながら継続

grade 2(症状あるが日常生活に支障なし) 中止により改善すれば再開

grade 3(日常生活に支障あり) 中止により改善すれば、再開を慎重に検討

grade 4(生命の危険あり) 再投与は行わない。

 

テムシロリムス(トーリセル)

・適応:腎細胞癌

・発生率はIP 17%、胸水6%、肺高血圧3%など。CT評価可能例では57%に認めたとの報告も。無症状も多い。

・治療開始4-8週が多い。用量非依存性。

COPDAD/ALIHPなど。

 


メソトレキセート

・広範なすりガラスが特徴。汎小葉性のモザイクパターン多い。

・咳嗽、息切れが主体で発熱も多い。治療開始数日から数週間での発症が多い。半年以内が75%

・薬剤中止のみでも改善しやすい。

・投与量との関連なし。

 


サラゾスルファピリジンメサラジン(アサコール、ペンタサ、リアルダ)

・サラゾスルファピリジンの肺障害はまれ。OP,DIPEHAIPEPなど。

・メサラジンでは比較的多い。EP最多。開始からの中央値は42日だが、最短は2日、最長は16年。

 


漢方薬

・オウゴン、ケイヒの関与が疑われているが、確証はない。

小柴胡湯C型肝炎に対してIFNと併用された際に肺障害が問題となった。

・細胞傷害性の機序とアレルギー性の機序の両方が考えられている。

 


抗菌薬

・特別多いとまでは言えない。

・テトラサイクリン、マクロライド、βラクタム、ニューキノロンST、ボリコナゾール、メフロキン、抗結核薬、タミフルなどで注意。

・治療開始1-2週での発症が多い。I型、III型、IV型の関与が推定されている。血沈亢進、白血球・CRP上昇、好酸球IgE上昇。DLST陽性は少ない。

・びまん性すりガラス、粒状影、散在性の浸潤影、EPパターン多い。

 


鎮痛薬

アスピリン喘息には酸性NSAIDsだめ(アスピリン、ジクロフェナク(ボルタレン)、イブプロフェン(ブルフェン)、インドメタシン、ロキソプロフェン、メフェネム酸(ポンタール)、ナプロキセン(ナイキサン)、ピロキシカム(フェルデン)、スルピリン(メチロン)など)。COX-2選択性の高い酸性NSAIDs(セレコキシブ、エトドラクハイペン)、メロキシカム(モービック))や塩基性NSAIDs(チアラミド(ソランタール))、アセトアミノフェンは比較的安全。

アスピリンによるARDS、その他NSAIDsによるEP報告あり。日本からもロキソニンによるEPOPHPあり。

アセトアミノフェンではDADEP多い。OPHPも。発症まで1週間程度。比較的短期間で発症する。

 


アミオダロン(アンカロン

・用量による。日本からの報告では低用量(200mg/d)以下でも5年間の累積発生率10%60歳以上は発症リスク。

・投与開始から6-12ヶ月が多い。総投与量が100-150gになると頻度が上がる。

・臨床像は多彩。咳嗽、息切れでの発症が多い。KL-6上昇やDLCO低下を認める。BALFや肺組織の泡沫マクロファージはアミオダロン蓄積の根拠となる。

 


DPP-4阻害薬

・ほとんどのDPP-4阻害薬でIP報告あり。

・両肺すりガラス影、BALFではリンパ球優位。

 


健康食品など

コエンザイムQ10によるEP、ニューアイリタンによるIP、キトサンによるAEP

・アマメシバによるBO