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医師の自学自習のためのブログ

CTで発見される肺の孤立性結節のフォロー

CT検診や、他の目的で撮影されたCTで偶発的に発見された肺野の小さな孤立性結節の対応についてまとめ。

国際的にはACCP(American College of Chest Physicians)のガイドラインなどがあるが、日本ではCT検診学会の基準を使うのが無難かもしれない。

ACCPでは5 mm以下のpure GGNや、4 mm以下で肺癌リスクの低いsolid noduleでは経過観察不要としているが、日本ではどうだろう??

 


 【概要】

●solid noduleとsubsolid noduleに分け、subsolid noduleはpart-solid noduleとpure GGNに分ける。

●pure GGNは概ね前浸潤性病変に相当。臨床的に問題となるまで時間かかる。

 TNMではT is:全体径≦30 mm、solid partなし<

 前浸潤性病変

  異型腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia;AAH)

  上皮内癌(caricinoma in situ)

 小さければフォロー不要? コストや放射線暴露の問題もある。

 

●part-solid noduleは微小浸潤癌に相当。pure GGNよりは進行した状態。

 TNMではT1 mi:全体径≦30 mm、solid part≦5 mm。

 


2013年ACCPガイドライン(Chest 2013;143(5 suppl):e93S-120S)

solid nodule8 mmを超える~30 mm以下

 肺癌である可能性が高まり、少なくともCTによる経過観察が必要。

 PETを撮ってから、あるいはいきなり生検/手術も考慮。

手術のリスク、臨床的な悪性であるリスクをみて対応を検討する。

 

 solid nodule≦8 mm

 ≦4 mmで肺癌リスク因子なし→フォロー不要

 4-6 mmでリスク因子なし、≦4 mm以下でリスク因子あり

  →12ヶ月後CT撮影し、そこで不変ならフォロー終了。

 より大きい/リスク因子ありの場合は、2年程度はCTフォロー

 

part-solid nodule

 ≦8 mm:3、12、24ヶ月後にCTフォロー。不変なら年1回CTを1-3年。

 >8 mm:3ヶ月後CT。不変ならPETや切除も考慮。

 

pure GGN

 ≦5 mm:フォロー不要

 >5 mm:1年毎のCTフォローを少なくとも3年

 


日本CT検診学会

「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方第4版」

医療機関への紹介基準は「最大径+短径の平均値が6 mm以上」

solid nodule

 ≧10 mm以上→確定診断

 6-10 mm→喫煙者3、6、12、18、24ヶ月、非喫煙者4、12、24ヶ月でCT再検。

part-solid nodule

 全体径≧15 mm→確定診断

 全体径<15 mmかつsolid part≧5 mm→確定診断

 全体径<15 mmかつsolid part<5 mm→4か月後CT再検

pure GGN

 全体径≧15 mm→4ヶ月後CTで不変or増大なら確定診断

 全体径<15 mm→4、12、24ヶ月CT再検し、増大or濃度上昇あれば確定診断

          24ヶ月後で不変でも、原則として年1回CT