MED INFO

医師の自学自習のためのブログ

バイスタンダー除細動は有効(原著)

原著

一般人によるバイスタンダー除細動は、循環が戻らなくても予後を改善する

(Lancet 2019;394(10216):2255-2262)

 

★日本のビッグデータの解析。

★病院外心停止患者(11年間で約130万人)のうち、バイスタンダーがCPRを開始し、かつ電気ショックが有効な不整脈の見られた患者は28019人いた。

バイスタンダーが除細動も行ったのは2568人(1割弱)おり、このうち326人(1割強)が循環復帰、2242人(9割弱)は復帰せず。

バイスタンダーが除細動を行ったが循環が復帰しなかった患者2242人と、バイスタンダーが除細動を行っておらず循環が復帰しなかった患者25087人を比較。30日時点での良い神経学的スコア(Cerebral Performance Category 1または2)、および生存は、除細動群で1.5倍弱ほど良好であった。

 


背景

●電気ショックを行うべき不整脈のある病院外心停止(out-of-hospital cardiac arrest; OHCA)患者で、一般人による除細動(public-access defibrillation)が試されたケースの80%以上は、循環(spontaneous circulation)が復帰しない。このような患者の神経学的予後、生命予後を調査する。

 

方法

●日本の前向き・全国・population-basedのレジストリから、2005年1月から2015年12月のデータ(院外心停止患者1299784人)を抽出し、後ろ向きに検討した。

●心停止(cardiac arrest)はsigns of circulationの消失で定義。

●OHCAが心由来か非心由来かは最終的に医師が判断した。循環が復帰したかどうかは、触知可能な脈拍の有無、(and/or?)モニターで判断した。

●primary outcomeは30日時点で、神経学的予後がよい(Cerebral Performance Category 1または2)かどうか。

●secondary outcomeは30日時点での生存/死亡。

 

結果

バイスタンダーがCPRを開始したOHCAで、かつ電気ショックが有効な不整脈の見られた患者は28019人いた。

●除細動が行われたのは2568人で、うち326人が救急隊到着前に循環復帰、2242人が復帰しなかった。除細動が行われなかったのは25451人で、364人が救急隊到着前に循環復帰、25087人が復帰しなかった。

●このうち、循環が復帰しなかったケースを比較検討した。

●神経学的予後がよかったケースは、除細動群で845人(37.7%)、非除細動群で5676人(22.6%)で、propensity score-matching後のORが1.45(95%CI 1.24-1.69)と有意差が見られた。

●30日以内の生存率も、除細動群で987人(44.0%)、非除細動群で7976人(31.8%)で、propensity score-matching後のOR 1.31(95% CI 1.13-1.52)と有意差がみられた。

 

結論

●一般人によるバイスタンダー除細動は有効である。