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デングワクチンTAK-003の有効性と安全性(原著)

TAK-003の有効性は80%

(N Engl J Med 2019;381:2009-19)

TIDES trial 中間報告

 

★すでに承認されているDengvaxiaはdengue seronegative患者には使いにくい。

★本試験では4-16歳の小児でTAK-003(vs プラセボ)の有効性と安全性を評価。

★per-protocolで80%のefficacyあり。dengue seronegative患者でも大丈夫そう。

 


背景

●全世界で100ヶ国以上がdengue-endemicであり、年間3億9000万の症例が発生している。

●デングウイルスには4つのセロタイプ(DENV-1, -2, -3, -4)がある。一度デングに感染すると、同一のセロタイプのウイルスには感染しにくくなるが、異なるセロタイプのウイルスによる感染では重症化してしまう。

●黄熱ウイルスに由来するtetravalentのデングワクチン:CYD-TDV(Dengvaxia)は、アジア、ラテンアメリカの小児において56-61%の有効性を示したとのことで数ヶ国で承認されているが、dengue seronegativeの患者では逆にsevere dengueや入院が増えるとされ、デングの既往がある人にのみ接種されている。

●新規のtetravalentのワクチン:TAK-003(Takeda)は弱毒生DENV-2由来のワクチンである。TAK-003は現在大規模phase 3、ランダム化比較試験(TIDES)が進行中である。本論文はこの試験の中間報告である。

 

方法

●4-16歳をランダムに2:1に分け、ワクチンかプラセボを3ヶ月あけて2回投与。登録者は発熱エピソードの際に、デングとそのセロタイプについてrtPCRで検査される。

●Primary end pointはvirologically confirmed dengue from 30 days after second dose to end of part 1 of trial

 

結果

●20071人の参加者が、少なくとも1回のワクチンまたはプラセボを投与された(safety population)。

●19021人(94.8%)が2回の投与を受けた(per-protocol)。

Primary end point(per-protocol)は80.2%(95%CI 73.3-85.3、ワクチン群では61件/12700人(0.5%)、プラセボ群では149件/6316人(2.4%))。入院に関するefficacyは95.4%(95%CI 88.4-98.2、ワクチン群では5件、プラセボ群では53件)。

●safety populationでは、vaccine efficacyは80.9%(95%CI 75.2-85.3、ワクチン群では78件/13380人(0.6%、0.5/100人年)、プラセボ群では199件/6687人(3.0%、2.5/100人年))

●per-protocolで、ワクチン投与前にseronegativeの患者だけについて検討すると、vaccine efficacyは74.9%(95%CI 57.0-85.4、ワクチン群では20件/3531人(0.6%)、プラセボ群では39件/1726人(2.3%))

●serious adverse eventsは差なし(ワクチン群3.1%、プラセボ群3.8%)

 

結論

●TAK-003は安全かつ有効である。