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気管支喘息の治療(黒人)(原著)

黒人の小児で吸入ステロイド増量とLABAアドオンは同等

(N Engl J Med 2019;381:1227-39)

BARD trial

 

★黒人(祖父母の1人以上が黒人)で検討。

★吸入ステロイド増量、LABAアドオンなどいくつかの治療法を1対1で比較するやり方で検討。

★小児では吸入ステロイド増量とLABAアドオンが引き分け。

★12歳以上ではLABAアドオンのほうがよさそう。

 


背景

●黒人は白人よりも喘息のmorbidityが高いが、喘息治療に関する臨床試験の参加者としては、白人よりも割合が低い。

●これまでの研究では、コントロール不良の喘息では、吸入ステロイドの量を増やすよりも、LABAを併用したほうがよいとするデータが示されているが、人種別のデータは不足している。

 

方法

●ランダム化、二重盲検の試験2本。1つは小児(5-11歳)、もう1つは青年~成人(12歳以上)。

●参加者は少なくとも祖父母の1人以上が黒人で、吸入ステロイドまたは吸入ステロイド/LABAでコントロールが不良の患者。High-doseステロイド/LABAでコントロール不良の患者は除外。

●Run-in period 2-10週の間にコントロール不良が確認されたらランダム化可能。

 小児では、フルチカゾンの初期量は50 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン100 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン100 µg+サルメテロール50 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン250 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン250 µg+サルメテロール50 µg/回・1日2回

 青年~成人では、フルチカゾンの初期量は100 µg・1日2回。

  ・フルチカゾン100 µg+サルメテロール50 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン250 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン250 µg+サルメテロール50 µg/回・1日2回

  ・フルチカゾン500 µg/回・1日2回

●それぞれの治療を1対1で比較。まず「喘息増悪がない治療が優れている」とする。増悪がなければ「コントロールのよかった日数」を比較。それも同じであれば「14週時点での予測FEV1との比(5%刻み)」を比較。

 

結果

●小児では、

 ・FP250 vs FP100/SM50は差なし(46% vs 46%, p=0.99)

●青年~成人では、

 ・FP250 vs FP100/SM50は差あり(28% vs 49%, p=0.003)

 ・FP500 vs FP250/SM50は差あり(31% vs 49%, p=0.02)

●アフリカ系祖先、治療開始前のバイオマーカーでは、治療反応の予測できず。

 

結論

●喘息コントロール不良な黒人の小児では、「吸入ステロイドを増やす」と「LABAのアドオン」のどちらが優れているか直接比較すると、ちょうど半々という結果であった。