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医師の自学自習のためのブログ

抗凝固薬(クイズ)

 

ヘパリン

・ヘパリンは様々な分子量の多糖類が混ざった状態で存在する。

・未分画ヘパリンでは分子量3000-30000程度(平均15000)で、重要な5糖鎖(ペンタサッカライド)を含むのは1/3程度。

・●●と結合してトロンビンを阻害。他に●●因子を阻害する。*1

 

・どの因子を阻害するかは糖鎖の長さで違う。糖鎖が18より長いとトロンビンが不活化され(ATと結合)、18より短いと抗トロンビン作用はない(ATと結合しない)が、Xa因子を阻害することで抗凝固を示す。

・血管上皮やマクロファージ、血小板などにも非特異的に結合してしまう。

 

未分画ヘパリン(unfractionated heparin;UFH)

・抗トロンビン作用、抗Xa作用は概ね1:1。

半減期は40-60分と短い

 

低分子ヘパリン(low molecular weight heparin;LMWH)

・商品名●●

・分子量は2000-9000(平均4000)と未分画ヘパリンの1/3程度。

・UFHと比べて、●●作用が高い/低い。

(クレキサンは抗Xa:抗トロンビンが14:1)

・APTTが延長しない。

・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)をきたしにくい。

半減期3-4時間とUFHよりやや長い。

*2

 

ダナパロイドナトリウム

・商品名●● *3

・ヘパリンやLMWHを除去してヘパリン様物質を抽出したもの。

・へパラン硫酸84%、デルマタン硫酸12%、コンドロイチン硫酸4%など。

・抗Xa:抗トロンビンが22:1。

・APTTが延長しない。

・血小板への作用はほとんどなく、抗ヘパリン抗体への反応も低い。

 

フォンダパリヌクス

・商品名●●

・●●を化学的に合成したもの。非特異的な結合が少なく、94%がATに結合できる。

・抗Xa:抗トロンビンが7400:1。

・血小板への影響がない=出血リスクが低い。

半減期14-17時間と長く、1日1回の皮下注。

*4

 

ヘパリンの中和

・●●がよく用いられる。

・UFH、LMWH、ダナパロイド、フォンダパリヌクスには効果が●。

*5

 

 

ワルファリン

・ビタミンK拮抗薬(vitamin K antagonist;VKA)にはインダンジオン系と●●系があるが、日本で承認されているのは●●系のワルファリンのみ。

・ビタミンK依存性凝固因子の前駆体(=PIVKA;protein induced by vitamin K absence)は、そのグルタミン酸残基が酵素●●によってγカルボキシグルタミン酸残基に変換されることで成熟する。ビタミンKはこの酵素補酵素として働く。

・ワルファリンはビタミンKの還元酵素●●を阻害する。還元型ビタミンKがγカルボキシラーゼの補酵素になるため、還元されなければ凝固因子が成熟できない。

・ワルファリンは光学異性体(●体と●体)の混合物。

・●体のほうがビタミンK阻害効果が高く、主にCYP2C9で代謝される。●体はCYP1A2、CYP2C19、CYP3A4などで代謝される。

・ワルファリンはプロテインC、S、Zも阻害するため、投与初期3-4日ごろに一時的に過凝固状態を起こすことがある。

*6

 

ワルファリンの中和

・ワルファリンの投与を中止すれば3-4日で凝固能は回復する。

・ワルファリンはVKORを阻害する(=ビタミンKの還元を阻害する)が、γカルボキシラーゼは阻害しない(=還元型ビタミンKがたくさんあればOK)ため、ビタミンK製剤を投与することでワルファリンの効果を減弱できる。ただしPT-INRが回復してくるまで12-24時間要する

・急速に補正するには●●を用いる。近年ではII、VII、IX、Xの4因子含有プロトロンビン製剤(商品名●●)が保険収載された(Lancet 2015;385:2077)。

*7

 

DOAC(direct oral anticoagulant)

・ワルファリンと比較した特徴を3つ挙げろ

・抗トロンビン薬を1つ、抗Xa因子薬を3つ挙げろ

 *8

 

抗トロンビン薬:ダビガトラン(プラザキサ)

・生物学的利用能が6-7%と低い

・経口薬はプロドラッグであり代謝が必要

・80%が腎代謝であり、腎機能の影響を強く受ける

 

抗Xa因子薬

・肝臓のCYP3A4で代謝され、腎機能の影響を受けにくい

*1:アンチトロンビン(AT) IXa Xa XIa XIIa

*2:フラグミン、クレキサンなど 抗Xa作用が高く、抗トロンビン作用が低い

*3:オルガラン

*4:アリクストラ ペンタサッカライド

*5:プロタミン ある、弱い、ない、ない

*6:クマリン γカルボキシラーゼ VKOR(vtamin K12,3-epoxide reductase / vitamine K oxide reductase) R体とS体 S体 R体

*7:新鮮凍結血漿 ケイセントラ

*8:モニタリング方法がない 薬物・食物との相互作用が少ない 効果発現が早く、半減期が短い

ダビガトラン(プラザキサ)

リバロキサバン(イグザレルト) エドキサバン(エリキュース) アピキサバン(リクシアナ)