HIV初期治療薬(2020年8月現在)
基本的には3剤併用である。1st choiceで用いられるものは原則、
NRTI 2剤+(INSTI or NNRTI or PI)1剤
NRTIは……
・TAF/FTC
・ABC/3TC HLA-B*5701では禁忌(日本人での頻度0.1%)
INSTI(インテグラーゼ阻害)は……
・DTG 胎児の神経管欠損?
・BIC
・RAL
・EVG/c
NNRTIは……
・RPV VL≧10万では効果落ちる
PIでは……
・DRV genetic barrier高く耐性出にくい。リトナビルorコビシスタットと。
以上の組み合わせでシングルタブレットが出ているもの(TDFでなくTAFで)
・ビクタルビ BIC、TAF、FTC
・トリーメク DTG、ABC、3TC
・ゲンボイヤ EVG/c、TAF、FTC
・シムツーザ DRV/c、TAF、FTC
・オデフシィ RPV、TAF、FTC
結核治療中断時の対応
結核治療中に、副作用やアドヒアランスの問題で中断されてしまうケースがある。
(参考:IDSAガイドライン Clin Infect Dis 2016;63:e147)
初期治療時(例:INH+RFP+EB+PZA 2ヶ月)
・中断期間14日未満:3ヶ月以内に完了できるなら予定の内服回数になるまで
・中断期間14日以上:最初から
維持治療時(例:INH+RFP 4ヶ月)
・80%以上内服できている
・維持治療開始時の塗抹陰性:決められた日数で終了
・維持治療開始時の塗抹陽性:予定の内服回数になるまで
・80%未満の内服
・中断期間が3ヶ月未満:中断が2ヶ月連続していなければ予定の内服回数になるまで。ただし計6ヶ月のレジメンなら9ヶ月以内に完了する。できなければ最初から。
・中断期間が3ヶ月以上:最初から
抗凝固薬(クイズ)
ヘパリン
・ヘパリンは様々な分子量の多糖類が混ざった状態で存在する。
・未分画ヘパリンでは分子量3000-30000程度(平均15000)で、重要な5糖鎖(ペンタサッカライド)を含むのは1/3程度。
・●●と結合してトロンビンを阻害。他に●●因子を阻害する。*1
・どの因子を阻害するかは糖鎖の長さで違う。糖鎖が18より長いとトロンビンが不活化され(ATと結合)、18より短いと抗トロンビン作用はない(ATと結合しない)が、Xa因子を阻害することで抗凝固を示す。
・血管上皮やマクロファージ、血小板などにも非特異的に結合してしまう。
未分画ヘパリン(unfractionated heparin;UFH)
・抗トロンビン作用、抗Xa作用は概ね1:1。
・半減期は40-60分と短い
低分子ヘパリン(low molecular weight heparin;LMWH)
・商品名●●
・分子量は2000-9000(平均4000)と未分画ヘパリンの1/3程度。
・UFHと比べて、●●作用が高い/低い。
(クレキサンは抗Xa:抗トロンビンが14:1)
・APTTが延長しない。
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)をきたしにくい。
・半減期3-4時間とUFHよりやや長い。
ダナパロイドナトリウム
・商品名●● *3
・ヘパリンやLMWHを除去してヘパリン様物質を抽出したもの。
・へパラン硫酸84%、デルマタン硫酸12%、コンドロイチン硫酸4%など。
・抗Xa:抗トロンビンが22:1。
・APTTが延長しない。
・血小板への作用はほとんどなく、抗ヘパリン抗体への反応も低い。
フォンダパリヌクス
・商品名●●
・●●を化学的に合成したもの。非特異的な結合が少なく、94%がATに結合できる。
・抗Xa:抗トロンビンが7400:1。
・血小板への影響がない=出血リスクが低い。
・半減期14-17時間と長く、1日1回の皮下注。
ヘパリンの中和
・●●がよく用いられる。
・UFH、LMWH、ダナパロイド、フォンダパリヌクスには効果が●。
ワルファリン
・ビタミンK拮抗薬(vitamin K antagonist;VKA)にはインダンジオン系と●●系があるが、日本で承認されているのは●●系のワルファリンのみ。
・ビタミンK依存性凝固因子の前駆体(=PIVKA;protein induced by vitamin K absence)は、そのグルタミン酸残基が酵素●●によってγカルボキシグルタミン酸残基に変換されることで成熟する。ビタミンKはこの酵素の補酵素として働く。
・ワルファリンはビタミンKの還元酵素●●を阻害する。還元型ビタミンKがγカルボキシラーゼの補酵素になるため、還元されなければ凝固因子が成熟できない。
・ワルファリンは光学異性体(●体と●体)の混合物。
・●体のほうがビタミンK阻害効果が高く、主にCYP2C9で代謝される。●体はCYP1A2、CYP2C19、CYP3A4などで代謝される。
・ワルファリンはプロテインC、S、Zも阻害するため、投与初期3-4日ごろに一時的に過凝固状態を起こすことがある。
ワルファリンの中和
・ワルファリンの投与を中止すれば3-4日で凝固能は回復する。
・ワルファリンはVKORを阻害する(=ビタミンKの還元を阻害する)が、γカルボキシラーゼは阻害しない(=還元型ビタミンKがたくさんあればOK)ため、ビタミンK製剤を投与することでワルファリンの効果を減弱できる。ただしPT-INRが回復してくるまで12-24時間要する
・急速に補正するには●●を用いる。近年ではII、VII、IX、Xの4因子含有プロトロンビン製剤(商品名●●)が保険収載された(Lancet 2015;385:2077)。
DOAC(direct oral anticoagulant)
・ワルファリンと比較した特徴を3つ挙げろ
・抗トロンビン薬を1つ、抗Xa因子薬を3つ挙げろ
抗トロンビン薬:ダビガトラン(プラザキサ)
・生物学的利用能が6-7%と低い
・経口薬はプロドラッグであり代謝が必要
・80%が腎代謝であり、腎機能の影響を強く受ける
抗Xa因子薬
・肝臓のCYP3A4で代謝され、腎機能の影響を受けにくい
*1:アンチトロンビン(AT) IXa Xa XIa XIIa
*2:フラグミン、クレキサンなど 抗Xa作用が高く、抗トロンビン作用が低い
*3:オルガラン
*4:アリクストラ ペンタサッカライド
*5:プロタミン ある、弱い、ない、ない
*6:クマリン γカルボキシラーゼ VKOR(vtamin K12,3-epoxide reductase / vitamine K oxide reductase) R体とS体 S体 R体
*8:モニタリング方法がない 薬物・食物との相互作用が少ない 効果発現が早く、半減期が短い
ダビガトラン(プラザキサ)
リバロキサバン(イグザレルト) エドキサバン(エリキュース) アピキサバン(リクシアナ)