虫垂炎のフィジカル
参考:おなかのフィジカル診断塾第1回
medicina 2022;59:597
典型的な推移:PATFL
Pain 心窩部の内臓痛
⇩Anorexia, Nausea, Vomiting 食欲低下、嘔気嘔吐
⇩Tenderness 圧痛、特に右下腹部の体性痛
⇩Fever 虫垂炎だけで38℃を超えることはまずない。超えていれば腹膜炎か。
⇩Leukocytosis 白血球増多
症状について
・嘔吐が先行する腹痛では虫垂炎の可能性は低いだろう
・嘔気、食欲低下は8割ほどで見られる。食事を十分に摂っていると言う人は虫垂炎ではなさそう。
・下痢の訴えあり。骨盤腔深くの虫垂炎では直腸周囲の炎症のためテネスムスが起きる(便意が強いが少量の便のみ:うんちしたい症候群:直腸がん、AAA、異所性妊娠なども)
・炎症が膀胱におよべば頻尿、血尿
フィジカル
・McBurney:虫垂の付着部。右上前腸骨棘~臍の外1/3の点。
・Lanz:虫垂の先端。左右の上前腸骨棘の右外1/3の点。
・腹膜刺激:Blumbergは痛いからやめてもいいかも。percussion tendernessや咳嗽、歩行による増強で十分。
・Rovsing:仰臥位で下行結腸を下から右に押すと右下腹部痛が増強。
・Rosenstein:左臥位で圧痛増強。虫垂がのびるから?
・閉鎖筋徴候:仰臥位で右膝を立て、そのまま右膝を左右に振る。股関節を動かす。
・直聴診:虫垂の炎症を触れる(圧痛)ことがある。