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医師の自学自習のためのブログ

閉塞性睡眠時呼吸の診断・ポリソムノグラフィー

閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)について

 

診断基準

日本独自のものはない。以下のCPAPの保険適応基準があるのみ。

1-3のすべて。無呼吸低呼吸指数(AHI)40以上なら2だけでよい。

1 AHI20以上

2 日中の傾眠・起床時頭痛など自覚症状が強く、日常生活に支障あり

3 ポリソムノグラフィー(PSG)で頻回の睡眠時無呼吸のため睡眠の分断化や深睡眠の減少がみられ、CPAPにより改善する

 

ICSD-3の基準(AかつB、またはC単独)

A ①眠気・疲労等の症状、②呼吸停止や喘ぎとともに覚醒、③いびきや呼吸中断を指摘される、④高血圧・気分障害・認知機能障害・冠動脈疾患・脳卒中・鬱血性心不全・心房細動・2型糖尿病のいずれかがある、の4項目のうち1つ以上。

B ポリソムノグラフィーまたは簡易モニターで、1時間あたり5回以上の閉塞性優位な呼吸イベント

C ポリソムノグラフィーまたは簡易モニターで、1時間あたり15回以上の閉塞性優位な呼吸イベント

※閉塞性優位な呼吸イベント:閉塞性あるいは混合性無呼吸・低呼吸、呼吸努力関連覚醒(RERA)

 

重症度

 AHI 5以上 OSAあり

 AHI 5以上15未満 軽症

 AHI 15以上30未満 中等症

 AHI 30以上 重症

CPAPの保険適応とはずれがある。上記の診断基準参照。

 

検査について

●ポリソムノグラフィー(polysomnographyPSG)と簡易モニターがある

PSGOSA、中枢性無呼吸症候群、睡眠関連低換気症候群の診断の標準検査。

●簡易モニターはOSAの疑いが強い患者について、簡易的に行う検査。簡易モニターを指して在宅睡眠時無呼吸検査(home sleep apnea testHSAT)、検査施設外睡眠検査(out of center sleep testingOCST)などとも呼ぶ。

PSGでは脳波を測定するため睡眠時間の計測が正確である。簡易モニターでは検査記録時間を睡眠時間と推定して無呼吸・低呼吸をカウントするため、過小評価されやすい。

 

PSGで判定できる項目

●覚醒、ノンレム睡眠N1N2N3)、レム睡眠

●無呼吸、低呼吸、呼吸努力関連覚醒(respiratory effort related arousalRERA

無呼吸の定義

・口鼻温度センサーで最大信号の振れがイベント前のベースラインから90%以上低下した状態が10秒以上持続

・無呼吸時間すべてで呼吸努力が継続していれば閉塞性、呼吸努力がなければ中枢性、最初は努力がなく後半にあれば混合性。

低呼吸の定義

・鼻圧で最大信号の振れがイベント前のベースラインから30%以上低下した状態が10秒以上持続

・酸素飽和度がベースラインより3%以上低下または覚醒反応あり。(標準)

・酸素飽和度がベースラインより4%以上低下。覚醒反応問わず。(代替)

・イベント中のいびき、吸気時の鼻圧の気流信号の平坦化、胸腹の奇異性運動のいずれかがあれば閉塞性低呼吸。なければ中枢性低呼吸。

RERAの定義

・呼吸努力の増加または鼻圧による吸気部分の平坦化が10秒以上あり、無呼吸/低呼吸には該当せず、睡眠から覚醒反応を生じたもの。

 

●無呼吸低呼吸指数(AHI) =(無呼吸+低呼吸)/睡眠時間 [/h]

●呼吸障害指数(RDI) =(無呼吸+低呼吸+RERA/睡眠時間 [/h]