黄色ブドウ球菌菌血症の予後(原著)
原著
黄色ブドウ球菌菌血症の予後について
(Clin Infect Dis 2019;69(12):2112)
★アメリカ。データベースを使った後ろ向き研究。
★黄色ブドウ球菌菌血症の院内死亡(初回入院時)は13%で、MSSAよりMRSAのほうが多かった。
★ (初回入院死亡例を除いた解析で)30日以内の再入院は22%で、MSSAとMRSAに差はなかったが、菌血症が原因の再入院はMRSAのほうが多かった。
背景
●黄色ブドウ球菌菌血症の予後、特に再入院に関する知見は乏しい。
方法
●アメリカの入院の49%をカバーする「Nationwide Readmissions Database 2014」を後方視的に用いて、18歳以上のMSSA/MRSA菌血症の予後を調査した。
●30日以内の再入院、死亡率、入院期間、コストを調査。
結果
●黄色ブドウ球菌菌血症の92089患者のうち、48.5%がMRSAであった。
●HIV、うっ血性心不全、慢性肺疾患患者ではMRSAの割合が高かった。
●皮膚軟部感染症、肺炎ではMRSAが多く、筋骨格系、心内膜炎、中心静脈カテーテル関連感染ではMSSAが多かった。
●初回入院時の院内死亡は全体で13%、MRSAでみると14.1%だった。
●(初回の入院で死亡しなかった患者で)30日以内の再入院は22%で、MSSAかMRSAかで差はなかった(HR 1.03(95%CI 0.98-1.09))。
●MRSA患者では、菌血症再燃(bacteremia recurrence)による再入院が多く(HR 1.17(95%CI 1.02-1.34))、院内死亡率が高く(OR 1.15(1.07-1.23))、入院期間が長かった(incidence rate ratio 1.09(1.06-1.11))。
●再入院は、心内膜炎、免疫不全患者、drug abuse患者で多かった。
●再入院によるコストは1ケースあたり12425$、菌血症で再入院した患者でみると19186$だった。
結論
●黄色ブドウ球菌菌血症では再入院が多い。
●再入院させないような適切なケアが必要である。